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ペーパームーン

 

夜が寂しくて
部屋の片隅に転がる小説を
何度目か読み返す
ウイスキーの小瓶片手に

 

君はどんな
夜空を見てるの一人なの?
現実は読み飽きた
小説より味気ない

 

なんとなく蘇る
あの頃の気持ちほろ苦い
やぶれたページ探してる
終わらない物語

 

時が流れても

流れない星屑飲み干せない
ため息 窓の外に
ぼんやり浮かぶ
ペーパームーン

 

失くしたものなら
数え切れないほどある
あるけどない
あてどない真夜中に
ウイスキーもなくなってる

 

空を飛ぶ夢を見て
君に会いたくてもやがて儚く
いつもの朝がいつもの声で
俺を呼び覚ます

 

切ない物語
最後のページは捲らずに
もう少しこのままで
君を想ってたい

 

わくば優しく
二人を乗せて
ペーパームーン

 

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