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残り月
飛べないふりをしている
千鳥足の午前
真冬の空は暗くて
残り月が輝く
遊び慣れてるくせにそこは
何も知らないふりで
後出しジャンケンよろしく負けて
狭い部屋に転がる
冷んやりとした部屋でも
なぜだかほっとするね
何もない冷蔵庫から
缶ビールふたつ取り出す
知らない仲じゃないけどそこは
遠慮がちなふりして
あっちを見てる間に少し
少し距離を縮める
酔ってないふりをしている
けれど芝居が下手で
スポットライトはないけれど
そろりとベッドで踊る
悦びなんて小さな声で
聞こえないぐらいでいい
うっかり声に出したらそれで
それでもう止まらない
悲しみなんて笑い話に
してしまうぐらいでいい
うっかり涙流せばそれで
それでもう止まらない
明日だなんてこのままずっと
来なけりゃ来ないでいい
それでも空は白々明けて
残り月も消え行く
ふたりの夢儚く
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